塗装仕様

塗装工事の流れ 工事の開始から終了まで
 契約が完了すると、工事の開始となります。 まずは、現場の下見を入念に行い、工事の計画を作ります。 橋梁の塗装塗替えには足場の架設が欠かせません。足場の設計および設計図の作成、交通規制の検討、準備、関係各所への工事の連絡について 発注者:国土交通省の監督員との打ち合わせを繰り返しながら、細かく準備を進めていきます。

塗装流れ
素地調整(=ケレン)  塗装の防錆効果、つまりさびを止める力はさび止め剤の配合された下塗の塗膜が鋼材にしっかりと密着して初めて発揮できます。 逆に、さびや汚れが塗膜と鋼材の間に入り込み残ってしまうと、さびを止める効果が働かないため、早期のさびの発生の原因となります。 そのため、この素地調整と呼ばれる作業にて、さびや旧塗膜を徹底的に取り去ることが、非常に重要となります。
 またこの素地調整はグレードの高いものから、1種ケレン~4種ケレンまで4段階のグレードが存在し、 それぞれ用いる工具、工法が異なります。詳細は以下の通りです。
 本工事では、2種ケレンにて旧塗膜の全面除去を行ったのち、1種ケレン:ブラスト法にて鋼面状態の仕上げを実施します。
素地調整程度
2種ケレン 電動工具によるケレン作業

ケレン作業

 この2種ケレンは、電動工具と手工具を用いて塗膜を全て除去する作業です。左は電動工具での作業の様子ですが、 写真の右側、緑色の塗膜を工具の回転する刃を押し当て、ガリガリと削って落としているところです。
  劣化が進んでしまった塗膜なら剥離は容易ですが、全面が劣化しているというケースはさすがに無く、 鋼材にしっかりと張り付いている塗膜も削りとらなくてはなりません。これは一度や二度こすった程度では取れません。
 また、角やボルト、鋼材の継ぎ合わせ部など、複雑な箇所は電動工具では作業が不可能な場所も多く、 ハンマーやノミの様な形状の専用工具を使っての手作業となります。
 非常に手間のかかるのはもちろん、3kgもある電動工具を終日動かし続ける体力が必要とされる作業となります。
1種ケレン ブラスト工法  右の図は今回の工事で使用する素地調整法である、“ブラスト工法”の概要図です。
コンプレッサーから高圧の空気をブラストマシンに送り、ブラストマシンで送られてきた空気と研削材を混ぜあわせ、送り出します。 こうして研削材を処理面に高速で吹き付け、その衝撃により塗膜を粉砕、除去します。
 このブラスト工法では古くなった塗膜とさびを落とすとともに、鋼材の表面に均一に粗さ(凹凸)をつけることが重要となります。 鋼材を適度な粗さに仕上げることで、塗料がしっかりと食いつき、よりはがれにくく、長持ちする塗膜が完成します。
 当現場ではブラスト工法に入る前に上記の2種ケレンを実施し、完全に塗膜を除去してからの作業となるため、 適度な粗さに仕上げることを目的として施行を行います。

ブラストのイラスト

塗装仕様 下塗~上塗まで  本工事では、下塗を3回、中塗と上塗を1回ずつ、合計で5回の塗装を行います。
それぞれの層ごとに役割が異なります。まず、下塗は主に、さび止め効果を持った塗料です。
特に1層目の有機ジンクリッチペイントは、ジンク=亜鉛を大量に含んだ塗料で、この亜鉛の持つ犠牲防食作用により鉄をさびから守ります。 中塗は下塗と上塗を強力にくっつける役目、そして上塗は強い日光に耐え、雨や露などの水分を通さない、ふっ素樹脂を使った塗料です。 いずれもエアレススプレーにて吹付け塗装を行います。
塗装の各層イラスト